レスキューバッグ(前編)
■かばん哲学
僕のかばん作りには、一つの哲学みたいなものがあります。
「自分にとってそれが必要か?」
必要だから、考えるのです。
自分が体験で得た知識の中で生まれる疑問があります。
それは何故か?と考える時、再び自分自身に問いかけられる事になるのです。
さて、ヨットやクライミングなどの遊びには、さまざまなサバイバルの要素があり、してみなければ分からないことが沢山あります。
その、アウトドアな遊びのシーンに欠かせないとても重要なツール、実にさまざまな種類で興味深い「ロープ」について、先にお話しする事にしましょう。
■ロープって何?
ロープ、と一口に言っても実にさまざまな種類があります。
その昔、まだヨットなど何も知らない頃、ロープと言えば、太い紐、又は綱、と僕は思っていました。
そして、ヨットに乗ることで色んなロープを扱うようになり、これらにはさまざまな種類があるという事を知りました。
そうなのです、ヨットのロープや、クライミングのロープ、引っ越し屋さんが使うロープetcetc…ロープはさまざまに使われ、それらは決して同じではないという事を知ったのです。
■ロープの種類と名前の関係
ロープは見た目そっくりでも、用途によって全く違う内容である事がしばしばです。
それぞれ同じようなデザイン(柄)だったり、太さだったりする製品もあるので、何も知らずに混同して使われたりすると、大変な事になったりするのです。
ヨットの場合 セイル(帆)を上げるために使うロープを「ハリヤード」といい、セイルをトリム(調節)するロープを「シート」と呼びます。
この場合、どちらも調節する為のものですから、伸縮性があってはいけないものを使います。
クライミングの場合、登はんに使うロープは「ザイル」と呼びます。
登はん途中で転落した場合、その落ちる高さ(距離)にもよりますが、軽く1トンの負荷(重量)がザイルにかかります。
その為、ザイルは落下の衝撃負荷を軽減する為に、伸縮性を持たせてあります。(大げさに言えばゴムの様なイメージ)
この特性を考えずにお互い逆のロープを使うと、その真価が発揮されないどころか、非常に危険でさえあります。
水上スキーや、川で使うロープは「フローティングロープ」を使います。
もし水中に沈むと、ボートのペラに絡む危険があるし、水に浮いていることによって、人はそれを見つけやすくつかみやすくなるのです。
そんな風に、ただの「ヒモ」にして、それぞれついた名前は、単に使われるシーンによって使い分けられた名前ではなく、基本的に違う種類のものなんですね。
さてこのように、ロープも用途によっていろいろ考えられているのですから、バッグも用途によって考えるわけです。
もちろん、それに使用する材料も。
そして、そのバッグは何かのとき、(バッグとしてだけでなく)使えるか出来る限りの機能を持っているかなどです。
と言うわけで、JIBのデザインは機能から生まれ、経験によって裏付けされている、という事で成り立っています。
いろんなジャンルの遊びをすればするほど、いろんなバッグが必要となり、また、ジャンルごとにたくさん生まれるわけです!
<後編に続く・・・>