僕の音ルーツ~高校時代、大学時代から現在まで

ちょっと久々に音楽の話題を。

■リアルタイム
僕が高校生の頃は、レジェンドとなったビートルズやグループサウンズが大流行していた時代であり、それらがリアルタイムのサウンドでした。
また言わずと知れた、加山雄三の『若大将シリーズ』は、スキーやヨットや音楽という「武器」を自在にこなし常に女の子にモテモテ主人公。
そんな彼がその頃の僕にとっての理想のライフスタイルで、おかげでこの後、海や山の遊びに加え、音楽の世界への導入のきっかけともなったのです。

■アメリカン・フォークとの出逢い
まだ大学生になる前、ヨットでクルージング中にしけに遭い神戸港に避難した時、先輩が『ロストシティ(カントリーのライブハウス)』へ連れて行ってくれたのです。
そこで僕は、大変なショックを受けました。

「この楽しさは、一体なに!?!?!」

ギターやバンジョーを弾きながら歌う。
それも、コーラスで!!
みんな生き生きと楽しそうに演奏し歌ってる。
お客さんと演奏者の得も言われぬ一体感。

・・・もうとてもじっとしていられない状態でした。

とにかくそのライブハウスの体験はこの上なく刺激的で、すぐさま僕はアメリカンフォークミュージックの虜になってしまいました。

そして、聴いてるよりも、どうしても自分でやってみたくてたまらなくなったのです。
行動の早い僕は、その日帰ってすぐ、父親に買ってもらったカメラを売り払い、そのお金を握りしめギターを買いに行きました。
なんとも親には申し訳ないと判ってはいましたが、もう誰も僕を止められませんでした。

さてアメリカンフォークミュージックと言えば、代表的なアーチストはP.P.M(ピーター・ポール&マリー)や、キングストントリオ、ブラザース・フォアなどで、どのバンドもアコースティックギターと爽やかな曲にコーラス、というスタイルでした。
力強く響くハーモニーや、ノリのいいサウンドは底抜けに楽しく明るく、また、とてもお洒落なサウンドに感じられました。

それ以降、僕は独学でギターを夢中で覚え、曲を覚え、大学生時代はキングストントリオのスタイルで、僕はバンジョーとギターとボーカルを担当していました。
その内にさまざまなイベントに出演して演奏したりと、ヨットと平行して、アマチュアミュージシャンとして活動していました。

人がひたむきに夢中になる、とは、いかなる状態のことを指すのか?
言葉に挙げて説明するのは難しいけれど、もしこの時の僕の様子をお見せ出来たならばすぐにわかってもらえる事でしょう。
演奏がそれなりに上手くなったりするのは当たり前の事だと思います。
ヨットに乗らない丘での時間は、寝ても覚めても楽器にさわり、その事しか頭になかったのですから。
おかげで今もこの時代に覚えた事は、何一つ体が忘れる事はありません。

■JIBのプライベート・カフェ(バー)
JIBを始めてから『Marina del Rey(マリナ・デルレイ)』というライブカフェを作り、主にそのお店で音楽を演奏するようになりました。
バンドを作り、僕はいつもギターとボーカル。
オリジナル曲なんかも作って、ポプコンにも出場して上位に入ったりもしました。

メインの仕事としてJIBが軌道に乗り始めた頃でしたから、もちろん、音楽はこの頃も今も、あくまでも趣味の世界の事ですが、やるからには趣味といえどもプロをも脅かすようなアマチュアを目指したい、・・・そんな野望が常に頭の中にあるものですから、この当時もとてもよく練習をしていたように思います。
でも、好きで好きでたまらないわけですから、練習だって楽しいわけです。

こんな風に、ずっとJIBの仕事やヨットの傍らで、音楽は僕の大切な一部となっていったわけです。
震災直前には、当時ヨットを係留していたマリーナのクラブハウスに週末だけオープンするバーを作り、新たな音楽を楽しむ場所としてその拠点としたわけです。

ところがあの阪神大震災によってその建物(その地域全体)に大きくダメージを受けた為、震災後は、一旦休業していた本社内のバーを作り直し『Marina del Rey』から『Bar Dog House』と名を改め再開したのです。
Dog Houseとは、ヨットのキャビンの事。
大きなヨットの心地よい我がキャビンへようこそと、まるで友達を招待するように、というコンセプトで作りました。

自分自身も年齢を重ねたように、少し大人の雰囲気でスタートした手作りの店では、もちろん目指す音楽も大人の雰囲気のものでした。
集まってくる人々も、主にジャズメンたち。
それまで自分が聴いた事はあるけれど、演奏した事がないジャンルの音楽に多く触れる事となったのです。

■Joe SampleとCat Rig
話しは少し戻りますが、僕がJIBを立ち上げた頃、ちょうど『クロスオーバー』というジャンルの音楽が新しく出てきた頃でした。
ジャズとロックの融合、と言われ解釈されていますが、その内容は実際にはもっと広義です。
代表的なミュージシャンではグローバー・ワシントン・ジュニアやジョージ・ベンソンなどが挙げられますが、その中でもひときわお洒落で、尚かつ新しい感覚に満ちていて、僕が夢中になったミュージシャンが「ジョー・サンプル」というピアニストなんです。
30年近く聴き続けている今でも彼の織りなす音楽の輝きに、飽きる事なく魅了され続けています。
本当に僕にぴったりな、刺激的で明るく心浮き立つサウンドなんです。
(お薦めです!)

この音楽と出逢った頃から、僕はドラムを覚えるようになりました。
何に対しても好奇心旺盛な事が幸いして、興味のベクトルが向くや即、実行と、まっすぐの直線で繋がり、いつも最短距離でそれなりに覚えてしまうのです。

1990年代になって、僕はジョー・サンプルの音楽をメインに演奏するようなバンドを結成しました。
僕はそのバンドでドラムを担当し、理想のビート、理想のサウンドを追い求めるように、有名な曲を順番にコピーをして、イベントがあると出かけていき演奏をしたりしていました。

Dog Houseというバーを作って以降は、ジャズをメインにさまざまなバンドを結成しましたが、今現在、僕がリーダーを務めるバンドが「Cat Rig(キャットリグ)」というカルテットです。
ピアノ、ベース、ドラムス、ギターの4人編成で、僕は当然ドラムを担当しています。
皆もちろんアマチュアですが、僕を頭に3~40代のメンバーで、毎週日曜に楽しく演奏しています。

セッションとは「会話」だと思っています。

言葉の替わりに楽器というツールを使って音楽という言語で行う、とても楽しくエキサイティングな会話です。
会話のないセッションは、誰かが話しかけても聞かず答えず返さず、と同じ意味です。
ただ干渉しあわず誰もが勝手に喋っているだけ。
そんなのは会話とは言えませんし、それならば複数人でやっている意味がありません。

Cat Rig

Cat Rigというバンドは特に、その会話という部分を大切にしているバンドです。
それぞれの楽器で語り合えたら、どれだけ楽しいでしょう。
ひとりひとりがそれぞれの感性でぶつけあう。
それをぴったり感じられる瞬間が、最高にゾクゾクと楽しいのです。

ちなみに『Cat Rig』というのは一枚帆のヨットの事です。
Dog HouseもCat Rigも、ヨットの中の言葉です。

ヨットも音楽も、アウトドアもインドアも、仕事も遊びも、僕の中ではあまり違いはなく、夢中になる事という意味に於いては、限りなく同義なのです。
そんな思いをこめて、いつも音楽とも向き合っています。

■やっぱり、ピアニスト!
還暦を迎えるにあたって、一度トライしかけたピアノを再開しようと決意。
ピアノを弾いてみたらこれがまた楽しくて仕方ない。
1曲をひたすら練習し、去年の30周年のパーティでは、弾き語りデビューを果たしました。
もちろん、決して上手くはありませんよ!
でも、つたなくても僕の好きな響きを丁寧に演奏する事を大切にしています。
今も続けて、少しずつ練習しているのです。

音楽は、私のライフスタイルには絶対欠かせないもの。
生涯、続けていくものと思っているのです。

Dog House にて

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