JIBの歩み物語その3・<シリーズ完結>癌宣告、経営改革

会長メッセージarchives/wrote 202401120 #9

さて、阪神大震災のあと。
JIBのカバンの事業は大きなダメージを受けたまま、再スタート。とにかく、目の前の仕事を無我夢中で取り組んできました。私たちは最大限、時間をめいっぱい使いながら、得意先もない、資金もない、危機的状況を乗り越えるべく、ポジティブに前進あるのみの精神、パワーだけで頑張っていたように思います。そんな状況を助けるべく後押ししてくれたのが、紛れもないJIBのお客様、ファンの力でした。なぜだか常にカバンは足りない状況、商品を待ってくれているお客様がどこからかたくさん居て、JIBを支えてくれていました。
そんな中、Dog House(甲子園の本社だったフロアに作ったライブバー)に集まってくるお客様や仲間、JIBとは直接関係がない人々も巻き込んで、せっちゃんは製造部と販売のサポートをしながら、色んな人脈、ブレインづくりを行っていました。当時の彼女はまだ会社の経営には携わっておらず、経理財務全般は当時の専務が行なっていましたので、お店の運営や製造企画、広告、DOGHOUSEの采配など、その他の業務を一手に担っていました。
震災から7年が経過した頃、私の身体に大きな癌が見つかりました。ステージ4の悪性腫瘍。見つかったと同時に入院、手術と決まり、会社を含めた私の周囲に一気に緊張感が高まりました。JIB創業当時に遭った最初の危機「どろぼうに全財産盗まれ」、二度目の危機「阪神大震災で壊滅的なダメージを受け」に続く、非常にインパクトの大きな三度目の危機感。私自身はもちろん、周囲の関係者もひしひしと感じていたと思います。
 そこで、迷わず会社を守ると腹をくくってくれたのが、せっちゃんでした。おかげさまで私は闘病から無事に生還し数年後には寛解しましたが、そこから、彼女は急ピッチで色々な知識、知見を学んでいったように思います。このタイミングを機会に、経営に於いてとても重要で責任の重い経理財務のことを、彼女は引き受ける道へと進んでいきます。とにかく、会社を潰さない、何があっても守っていく、という使命感で突き動かされていたと思います。その後、今で言う”IT化”として、会計業務のPC導入やパートナーとの連携、経営者の仲間づくりなど、触手を広げ、おかげでJIBはどんどん会社らしく、また経営も安定してきました。
 退院から1、2年が経った頃、会社にいっぱしに税務調査が入ることになりました。会社の経営の実態をよそに、JIBのブランドはテレビや雑誌などで取り上げられる機会も少なくなく、少なからず目立つ存在にはなっていたように思います。大きな税務調査は初めてのこと。どんなことになるんだろうと、これまた緊張感いっぱい。しかしところが、ちょうど経理担当の専務が退職する事になっていたので、調査の現場は社長である私自身が対応することになりました。私は仕事の考え方や今までの経緯をなどを税務官に詳しく説明しましたが、専務任せであったアナログ会計の資料がほとんど役に立たず、細かい説明はほとんどできませんでした。しかし、その数年で彼女が取り組み、並列して作ってきた経理資料や実績が、大いに役に立つことになりました。弊社は経理財務をしっかり管理する考えの元、数年前よりパラレルで移行作業を行っていることを説明し、そのエビデンスとなる資料を担当調査官の前に出して見せました。それが、税務官が求める内容と合致し、わずか3年で仕上げた完璧な書類のおかげで、結果的に問題なく終わりました。そのあと、彼女は本格的に経営に携わるべく役員に就任し、私の力強い参謀へと成長していきます。
 時は流れ、彼女は今年の3月に二代目社長に就任。私は会長となり、ものづくりの現場では引き続き、面白くて楽しいものづくりを、また、社長としての新たな立場で頑張っている彼女の”名”アドバイサーとして、今も現役で活躍を続けています。今までを振り返れば、苦しくもあり、本当に色んなあの手この手、幾度となくギリギリのところで、何故だかうまくすり抜けてきたことも少なくありません。それも、過ぎてみれば楽しい思い出です。我が子のように育ててきたJIBを次世代へ繋いでいけることに、今、私はとても喜びと感謝を感じているのです。今、こうしてたくさんの方々に愛されているブランド、会社になっていることが奇跡のようにありがたく、会長として、少しでもお客様やスタッフみんなに恩返ししたいと思っているのです。

 

 

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