四国クルージング-1

■クルージングに行こう!
ヨットと出会い、すっかりヨットの虜になってしまった僕に、再び受験の季節が巡ってきました。
もちろん、結果は惨敗、またのチャレンジを余儀なくされたのです。
と、言っても、僕は決してブルーな浪人生ではありませんでした。
何故なら、結果はどうあれ僕にも皆と等しく春がきた。
それは、胸躍るワクワクの、ヨットざんまいの始まりのゴングだったのですから。
19歳、ヨットと出逢ってからまる一年たった春です。

そして、僕は当時の仲間や先輩クルーと、クルーだけの四国一週クルージングを計画したのです。
練習航海です。
毎日のように一年もヨットに乗っていると、ヨットの事(艤装や操船)や、海のこと、自然のことなどについては、すっかり僕の体の一部のようになっていました。
しかし、僕にとってはまだ行った事がない距離、未知の海が待つ体験です。
ワクワクせずにはいられません!

早速、ヨットのオーナーに話すと、気持ちよく気をつけて行って来いと返事を頂き、こうして僕たちは、その春、四国クルージングを実行したのです。

■メンバー紹介!
では、ここでメンバーを紹介しておきましょう。

・フジオカさん=スキッパー(船長)
彼は神戸海洋少年団(後述)出身で、僕より2、3歳年上。
年齢も上だが、ヨットや海の経験と知識は豊富で、頼りになる先輩。
彼が居なかったらもちろんこの計画もあり得ない事でした。

・ キムラ君
ヨットでは僕の方がちょっと先輩、僕の友人。
よく船酔いをしていた彼。しかもものすごく長い間。
笑いながら「吐くわー」と言ってた。

・コタロー
クルージングの1週間ほど前からヨットに乗り始めたばかりの、フジオカさんの友人。
しかし、彼にはものすごい特技があったのだ。

・そして、僕
いつも特攻隊役。危険なこと、寒いこと、面倒なこと・・・
何かにつけ一番に飛び込むのは僕の仕事でした。

以上、この4人だ。
メンバーの詳しいエピソードはまた後で書くとして、とにかく話しをすすめよう。

若き日の Mr. JIB 四国クルージング – クルーのみんなと

■綿密、でなかった計画!?
クルージングに欠かせない、重要な搬入品と言えば、何でしょう?
燃料?
それは、ヨットの場合は、「風」が燃料なんですね。
ほとんどが帆走(帆だけで走る)が前提のヨットは、燃料は必要最低限のみ積んでおけば良いのです。
重要な搬入品とは、食糧です。
何せ学生4人組、予算も限られていたので、かなり綿密に計画を立てました。

『何事も、工夫することで何とかなる』
この事は、これから始まるヨットの体験と共に、たくさんの教訓を生み、後々の僕の人生にとても役に立つ事となるのです。

水は寄港したところでその都度調達する事に。
主食の米は、それぞれの家から持ち寄って調達する事にしました。
問題は「オカズ」になるものです。
そこで、西宮の中央卸売市場へゆき、ある、安い缶詰を見つけてケース買いしました。
献立を考え、色々な料理にアレンジして、一つの缶詰を消化しようという考えでした。
そして、出航したその夜に、その一つ目を空けました。

・・・何やこれ?!

ゴボウ天をタテにぎっしり並べたような感じで、いかにもまずそうな物体でした。
一口食べてみたところ、見た目を裏切らず、大変まずかった。
あぁ、これを毎日食べなアカンのか・・どうしよう・・・
と思い、大変憂うつになりました。

しかし、それでもそれを食べるしかなかったんですね。
メンバーで2缶ずつくらいを毎日毎日。
ある日は炒めて、ある日はオデンにしたりして、工夫に工夫を重ね、帰る時には全部食べきっていました。
しかし、今でも忘れられないくらい、まずい缶詰でした。

【教訓1】 ケース買いする時は、必ず試食すること。

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