四国クルージング-2

■ヨットが傾く?
そうして、僕たちは無事に西宮港を出港したのです。
香川県の小豆島や高松は何度か来ていたので、海の上に居てもああいまこの辺かとわかりますが、そこから先は僕にとって未体験ゾーンです。
緊張に似たワクワク感を感じていました。

クルージング初めての寄港地は丸亀港です。
丸亀港は誰も体験のない初めての港、しかも夜に到着です。
周囲の状況も見えずらい上に、水深や水中にあるものが何も判らない状況です。
ヨットにはフィンキール(ヨットの船底にある重要なパーツ)があるので、3mぐらいの深さは絶対必要なのです。
慎重に入港し、紐の先に重りをつけ水の深さを測りながら少しずつ接岸して、停泊したのです。

次の朝、目が覚めると、寝ている自分の体が傾いてるじゃないですか。
慌てて飛び起きると、何と、ヨットが傾いて浮かんでいる状況でした。

どうなってるんや!!

調べてみると、なんと丸亀は2mも潮が引く。2mも潮が引く環境は珍しい例に入ります。
潮が引いて、ヨットが海底にあたって持ち上げられていたのです。
僕たちはしごく納得し、その後はずっと潮が満ちるのを何時間か待ちました。
午後になってようやく潮が満ち、元のプカプカ浮かんだ状態に戻り、丸亀港を後にしました。

後に海図と水路書誌を合わせた「水路(図)誌」の存在を知り、よくよく勉強してから寄港するようになりました。
それぞれの港の侵入の仕方や海底の様子などを細かく記しているものです。

【教訓2】 初めて入る港は事前に調べておく。

■春一番
『春一番』って、素敵な言葉だと思いませんか?
寒い冬を越え、待ちに待った春の到来を告げる、爽やかな暖かい風・・・
「あぁ、春が来るんやな」
そんなイメージのする優しいニュアンスの言葉
・・・と、僕は、この時まで思っていました。

丸亀を超え数時間経ったと思います。
急に海面に白波が立ち、風がどんどん強くなってきました。
そこへいきなり突風が吹いて来て、船はぐっと傾きました。
突風は吹き止まず、まさしく春の嵐です。
キャプテンの冷静な判断で、このまま夜走るのは危険なので、最寄の湾で過ごそうということになりました。
強い南寄りの風をしのぐ為に、香川県の詫間湾へ逃げ込み、一夜をそこでやり過ごしました。
そして、これが本当の『春一番』だと知りました。

【教訓3】 春一番は、恐ろしい。

若き日の Mr. JIB 四国クルージング

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