セイルクロスと皮のかばん
■JIBが何故、皮革を使うのか?
最近、皮革素材をふんだんに取り入れたバッグをデザイン&製作する事が多くなりました。
そこで、みなさんによく尋ねられること・・・
「なんでセイルクロスと革なの?」
この質問に、今日はまとめてお答えしたいと思います。
それにはまず、やっぱり、当たり前のことから説明していきましょう。。。
みなさんが知っていることもたくさんあるでしょうが、どうかじっくり読んで下さい。
■アウトドアライフと皮の関係
アウトドアと皮革の組合せは、非常に理にかなっている事が多く、アウトドアという言葉もない時代から、良い組合せとされてきました。
狩猟民族の間では、衣料や靴、馬具や袋物、その他の全てに、或いは補強部分として使われてきました。
それは、皮革のもつ「頑強さ」に由来していることは、説明のいらぬことです。
世界中の人々が皆、誰に教わるでもなく、皮革の素晴らしい特性を理解していたということです。
時代は流れ、アウトドアという世界は、生活から楽しみの部分へと移行したものの、その関係の強固さはゆるぐことはないのです。
■ヨットと革の関係
では、同じアウトドアでも海の上ならばどうでしょうか。
革製品は水と相性が良くないのでは・・・・?
いいえ、答えはNoです。
皮革は天然組織であり、天然由来の油分というものがあります。
そのおかげで、水に対しての耐水度・強度も持つことも出来たのです。
ヒールしたヨットのデッキの上に海水がバサッと流れる、頭から海水が降ってくる、その度に常に足元は水浸し・・・
・・・そんな状況を前提に、ヨットマンたちが選んできたはきものは、革製の※1)※2)デッキシューズなんです。
また、太いロープから手を守る為のセイリンググローブなども、その昔は全て革製品が選ばれていました。
その他、ヨットのセイルのクルーアウトホールの縁(摩擦する部分)の補強などにも革を使ったりしています。
ということで、セイルクロスと皮革素材は良い組合せとして、ずいぶん私自身が見慣れた景色の一つなんです。
革は水に濡れてはいけない?
いいえ、きちんと手入れ※3)さえすれば、水に濡れてもいいんです。
水に濡れ、紫外線を浴びパリパリに乾き、オフタイムにしっかり手入れをして、また濡れ、、、
そんな過酷な使い方をする環境で選ばれるのは、やっぱり革製品であり、その使い込んだ風合いは、まさに風格と呼ぶに相応しいアウトドアの勲章なんです。
ちなみに、そのオフタイムの手入れの時間も、楽しみのひとつなのです!
※1)デッキシューズの靴底はラバーです。皮革部分はボディ部分を指します。
※2)現在ではもっと進化した合繊の用品が主流となっています。
※3)汚れを落としたり、ミンクオイルなど皮革専用のメンテナンスのオイルを使って補油をします。
■では、セイルクロスと革を結ぶキーワードとは?
Ans) 使い込むことで変化する「風合い」
セイルクロスは、使い込むとどことなくみすぼらしくヘナヘナになってしまうクロスとは違い、何故か・・・不思議な風合いや使い込んだ味わいが、いい感じでそなわってきます。
何故、セイルクロスがそのようになるのかは、私たちにもわかりません!
でも、使い込むとたまらなくいい風合いになる事を、私たちはヨット遊びを通じて、充分に知っていたのです。
使いこんだセイルの乾いたシワ、褪せた白の何とも言えない感じです。
同様に、革製品もどんな皮であれ、使い込むほどに変わる風合いがあります。
このかけ離れた二つの異素材をつなぐキーワードは、使い込むことによるポジティブな変化なのです!
■さらに、JIBと革を結ぶ別のキーワードは?
Ans) 他品種・少ロット
革はセイルクロスと違い、天然の素材です。
仕上げや加工を限りなく均一にすることは出来るかもしれませんが、その個体差を否むことは出来ません。
革の個体差を楽しむ、、、
一枚一枚、色や柄や厚みなど、表情が少しずつ違う・・・
・・・それが皮革素材の良いところと私たちは考えます。
そしてそれは、私たちの商品展開のコンセプトの一つである『他品種・少ロット』と同じコンセプトとなります。
他の人と同じカバンじゃない確立が、ぐっと大きくなるという事です。
これがJIBの遊び心の原点となる考えなのです。
ここにも、私たちが革を使う意味があるのです。
■異素材との組合せを楽しむJIBのチャレンジ!
JIBバッグは、カバン屋さんが真似出来ない(真似しにくい、理解しずらい)作り方をしています。
それは、ヨットの帆を縫うのと全く同じやり方でバッグを作っているからなのです。
ヨットの帆の作り方は裁断から縫製まで非常に特殊なのです。
そして、その方法にそっくりならって、JIBなりに、JIBが良いと思うものを、良いと思うやり方で作っています。
それならば、皮革もJIBなりに、JIBらしく扱う、というのが、わたしたちの皮の扱い方の基礎となっています。
大胆で、もったいなくて・・・そんな風に、革をどんどん使うのです。
アウトドアで使ってもらって革が傷だらけになっても、それを楽しんでもらいたいというコンセプトで、
セイルクロス×皮革の製品作りをしています。